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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(あ)3532号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人猪俣浩三、同吉田米蔵の上告趣意は、貸金業等の取締に関する法律第七条の解釈を誤った違法があるというのであるが、同条にいわゆる預り金とは、(イ)不特定多数の者からの金銭の受入で、(ロ)預金、貯金、掛金、その他何等の名義をもってするを問わず、これらと同様の経済的性質を有するものをいうのであって、たとい本件におけるがごとく出資金又は融資金等の名義を用いたとしても、元本額又はそれ以上の額を弁済期に返還することを約旨として不特定多数の者から金銭を受入れることは、同条にいわゆる預り金に当るものといわなければならない。それ故、原判示は結局正当であって、所論の違法はない。その余の論旨は事実認定の非難に帰し刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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